トヨタ・エスティマ

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エスティマ(Estima)は、トヨタ自動車1990年から生産する大型の高級ミニバンである。初代はトヨタ自ら「天才タマゴ」と呼んだ卵型の丸みを帯びた外観が印象的であり、ホンダ・オデッセイとともにミニバンを代表する車種である。


歴史[編集]

初代(1990年-1999年)[編集]

ファイル:Toyota-Previa-AllTrac.jpg
初代エスティマ
(前期型、1990/5 - 1994/7)
ファイル:ToyotaPrevia.jpg
初代エスティマ
(中期型、1994/8 - 1997/12)
ファイル:1998 Toyota Estima 01.jpg
初代エスティマ
(後期型、1998/1 - 1999/12)
ファイル:PRCar.JPG
エスティマエミーナ
(前期型1992/1 - 1994/12)
ファイル:1998 Toyota Estima-Emina 01.jpg
エスティマエミーナ
(後期型1996/8 - 1999/12)
ファイル:1995 Toyota Estima-Lucida 01.jpg
エスティマルシーダ
(中期型1995/1 - 1996/8)

初代は1990年5月12日に発売され、その卵をイメージさせる未来的なスタイルで注目を集めた。従来のワンボックスカーでは前輪前・運転席下に位置しているエンジンを、横に75°寝かせることにより平床化に成功、前輪も運転席の前方に置くことにより、世界にも例を見ないアンダーフロアミッドシップレイアウトが採用された。1989年、初の幕張メッセでの開催となった、第28回東京モーターショーでの、「動くカットモデル」は大きな話題となった。

また商用グレードを用意せず、サスペンションも前軸はマクファーソンストラット式、後軸はダブルウィッシュボーン式の4輪独立懸架を採用するなど、当時のワンボックスカーの常識を超えた、意欲作であった。

搭載されたエンジンは、2TZ-FE型2400cc自然吸気(エミーナ、ルシーダのガソリン車も同様。)135psと2TZ-FZE型2400ccスーパーチャージャー付160psの2タイプが使用され、エミーナ・ルシーダには3C-TE型2200ccディーゼル・インタークーラーターボ付き100ps(1996年8月~:105PS)も搭載されていた。

もともとのコンセプトでは、当時トヨタが開発中であった、2ストロークエンジンを搭載する予定であり、このことでエンジンルームをコンパクトにまとめることが出来る目算であった。しかし不幸にもエンジン開発に失敗し、卵形のボディーが宙に浮く結果となり、急遽、一般的な直4、2.4Lエンジンを傾斜搭載することで、何とか日の目を見た企画であった。

驚きを持って迎えられたエスティマではあったが、日本国内ではその大柄なボディサイズが扱いにくいとされ、また北米では2.4Lエンジンが非力、欧州では高価だと言う理由で支持を得ることが出来なかった。また競合他車がV6エンジンを搭載する中で、直列4気筒と気筒数で劣るエスティマは価格に比して、静粛性、ひいては高級感に劣ると評された。それでもエスティマは、独創的なスタイルとメカニズムをものにした、ある意味、トヨタらしい車でもあった。

当時の日本国内では、1991年6月に発売された、日産・バネットセレナが発売されて人気を博していた。対抗馬としてのエスティマは大柄すぎた為、翌1992年1月には車幅を短縮、前後バンパーのデザインを変更させて5ナンバー(小型乗用車)枠に収めた(サイズは5ナンバー枠だが、エンジンが2000ccを超えているため3ナンバー車扱い)「エスティマ・エミーナ(Estima Emina)」(トヨタ店取り扱い)、「エスティマ・ルシーダ(Estima Lucida)」(カローラ店取り扱い)を発売した。一般的には、大型のエスティマを「親・エスティマ」(ワイドエスティマあるいは、大(だい)・エスティマと呼ぶこともある)、エミーナ/ルシーダを「子・エスティマ」(小(しょう)・エスティマと呼ぶこともある)と呼んで区別している。ボディを小型化したことに合わせて内装を親エスティマのイメージを損なわない程度にコストダウンしている。また、上級グレードを除く主力・普及グレードのリアサスペンションは、4リンク・ラテラルロッドと、コイルスプリングを組み合わせたリジッドとなっており、大幅なグレードダウンとなった。

これらのコストダウン策にもかかわらず、子エスティマの価格は、お世辞にも低いとは言えなかった。それでも旧来のキャブオーバー式のワンボックスカーに違和感を感じていた層にとっては、スタイリッシュな子エスティマは爆発的なヒットを記録することとなった。しかし、巨額の開発費をかけた割に利益率は低く、なかなかモデルチェンジをさせてもらえず、モデルライフ後半では、タウンエース/ライトエース・ノアに主力のバトンを明け渡すことになってしまう。

親エスティマの方は、子エスティマのデビュー後に、オセアニア仕様を転用した、廉価版のXグレード(1994年8月 8人乗りベンチシート・リジッドリアサス仕様)を投入するも、販売は今ひとつであった。特に動力性能への不満が集中していたため、1996年8月スーパーチャージャー装備モデルを投入するも、今度は燃費に関しての不満に悩まされることとなる。この時から標準仕様(ベースグレード)はGグレードとなり、Xグレードのスーパーチャージャー付をVグレードとした。また、モデルライフ途中に親エスティマは一度だけ大きな変更を受け、1998年1月、エアロパーツをまとった「アエラス」を追加するなどしたが、1994年に「乗用車感覚で車高の低いミニバン」ホンダ・オデッセイの登場により、売り上げが低下した。(※オデッセイはエスティマとほぼ同価格帯。)Xグレード(NAエンジン)は廃止になり、Vグレード(SC付エンジン)に変更、全グレードSC付になった。しかしこの頃から街中の燃費は今までどおりだが、高速走行などでは、燃費向上が図られており、10年排気ガス規制に伴い、排ガス記号もE-からGF-に切り替わっている。 実際の販売状況は、エンジンルームの狭さゆえにエンジンの大型化に対応できず、オデッセイやエルグランドをはじめとするライバルが、3Lや3.5Lへと移行する中、苦戦を強いられた。北米仕様はこのモデルのみで、カムリをベースとした、コンベンショナルなFFレイアウトのシエナに後を譲った。

初代エスティマに関して振り返ったが、そもそものコンパクトな2ストロークエンジンを搭載した新時代のMPV(マルチパーパスビークル)というコンセプトの肝であるエンジンが完成しなかったために、エスティマは非常に不幸なモデルライフを送ることとなってしまった。販売台数を稼いでくれた子エスティマでは前席足元スペースが狭く、その乗り味も本来の親エスティマが持っていた大らかな乗り味ではなく、ミッドシップを強調するキビキビ感が強調された味付けになっていることから、開発陣が目指したいたものとは違う方向となり、戦略の転換を余儀なくされた。しかし、現在でもその際立ったスタイルから、カスタムカーのベースとして人気を保っている。また、大らかな乗り味と、バランスの良いハンドリング、ミニバンを忘れさせるような運転のしやすさから、代わりになるクルマが無く、中々手放さないオーナーが多いのも事実である。

初代エスティマの失敗に懲りたトヨタは、次世代へのモデルチェンジにあたり、カムリのFFシャーシを用いた、収益性に重点を置いたモデルとして、エスティマを位置づけることになった。

テレビ朝日系特撮「特救指令ソルブレイン」の「ソルトレッカー」のベース車にもなっている。

三角窓がある。

2代目(2000年-2005年)[編集]

ファイル:Toyota Estima (second generation) (front), Serdang.jpg
2代目エスティマ(前期型、2000/1 - 2003/4)
ファイル:Estima-policecar.jpg
2代目エスティマ(後期型、2003/5 - 2005/12)警視庁のエスティマパトカー。移動交番として使用される。

2代目は2000年1月6日に発売された。卵型の丸みを帯びた車体を踏襲しつつも、乗用車のイメージが強くなった。なお、2代目以降はフロントエンジンである。また、「エミーナ」、「ルシーダ」は統合のため廃止された。2001年6月にはハイブリッド版のエスティマハイブリッドが発売された。

また、クルーズコントロールをGの3000ccクラスに標準装備し、レーダークルーズコントロールをメーカーオプションで設定している。このようにトヨタの先進装備を搭載し、“スポーティミニバン”であるとともに、“高級ミニバン”としての風格を逃さないようにしている。2002年には同車のシャシーを利用してアルファードが作られた。よってこの二車は姉妹車であり、これはエンジンラインナップからも明らかであり、後日ほぼ同様のシステムでハイブリッド版も発売された。

トヨタモデリスタインターナショナルが制作する特装車として、本来7~8人乗車であるエスティマを4人乗りに変更し、木目調カウンターや各種AV機器を装備、冷蔵庫やテーブル等を装備した「エスティマ・モバイルオフィス」という社用車モデルも発売されている(後にハイブリッド化されている)が、価格も700万円するので一般人には縁がない車と言える。

取り扱いはTがトヨタ店、Lがトヨタカローラ店。ハイブリッド版は両店で扱っている。前期型はTのリアウインカーの色がクリアー、Lがオレンジとなる点や、エンブレムが外観上の違い(フロントエンブレムが赤がT、青がL)であったが、後期型ではエンブレムのみの違いとなっている。ハイブリッドは差別化はされていなかった。

タクシーでも用いられ、保安基準があるためキャプテンシートの設定があるGグレードが多く、Xグレードも3列目シートを撤去し5人乗りとして使用している例もある。

初代と同様に三角窓があるが、初代より小さくなった。

また、センターメーターを採用している。

エスティマハイブリッド(2代目 ハイブリッドとしては初代)[編集]

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エスティマハイブリッド(左奥がマイナーチェンジ後、手前が初代)

エスティマハイブリッドは、2001年6月に登場したトヨタ自動車ではプリウスに次いで二番目、ミニバンでは初となる市販のハイブリッドカーである。重量がおよそ1.85トン、排気量2.4Lのガソリンエンジンを搭載する車両ながら10・15モードで18.0km/l(マイナーチェンジ後は18.6km/l)という低燃費を達成している。

エスティマハイブリッドに搭載されているハイブリッドシステムTHS-CToyota Hybrid System-CVT)は、前輪を駆動させるアトキンソンサイクルのガソリンエンジン(2AZ-FXE型、排気量2362cc、131馬力/5600rpm、19.4kgm/4000rpm)をジェネレーターを兼ねる電気モーター(13kW/1130-3000rpm,11.2kgm/0-1130rpm)でアシスト、前輪へは効率の良いCVTを通して動力が伝えられる。 さらにエンジンの動力を伝えるプロペラシャフトを用いず、ジェネレーターを兼ねるモーター(18kW/1910-2500rpm,11kgm/0-400rpm)をリアアクスルに搭載、このモーターの動力のみで後輪を駆動する四輪駆動システムE-Fourを搭載する。

ブレーキは旋回時の横滑りを抑えるVSC、発進時などのタイヤの空転を抑えるTRC、ブレーキ時のタイヤのロックを抑えるABS急ブレーキなどの際にブレーキ量を上げるブレーキアシストを統合制御するECBElectronically Controlled Brake system、電子制御ブレーキシステム)により四輪を独立して制御、油圧ブレーキと回生ブレーキの比率を適切にコントロールして運動エネルギーの回収能力を上げているほか、各機構を統合制御により従来の機構では車両の安定性が限界に来る直前に制御を始めるものを車両がより安定しているうちから制御を始める事で各機構の効果を高めて車両の安定性を上げている。

運転の際は停車時にはエンジンを停止してガソリンの消費を抑え、発進時はバッテリーの充電量が減っているときなどを除いてモーターのみで駆動、必要に応じて後輪も駆動させる。通常走行時はエンジンのみで駆動し、高負荷時はエンジンをモーターがアシストする。エスティマハイブリッドはプリウスと比べモーターよりもエンジンがメインとなっている。 減速時には前後のモーターを使った回生ブレーキにより運動エネルギー電気エネルギーに変え、Ni-MHバッテリーに貯める。回生ブレーキ使用時はエンジンに動力が伝わらないように切り離すことで効率よく回生が行われるようにしている。 また、ハイブリッドシステムを搭載したことにより、AC100ボルトコンセントから最大1500ワットの電力を供給することができるようになった。

グレード構成は、THS-C、E-Four、ECBなど装備する標準グレードと、標準グレードの装備の他にディスチャージヘッドライトやアルミホイール、クルーズコントロールを装備するGエディション、それぞれにシートが7人乗りの物と8人乗りの物の全4タイプになる。

外装はプロジェクタータイプのヘッドライトを搭載するなど主に前後のライト周りが変更され、THS-Cを搭載しない通常のエスティマと差別化がされている。

2003年7月に行われたマイナーチェンジではTHS-Cを改良して10・15モード燃費を向上させたほか、世界初というエンジンが作動しているときにはエンジン出力を、エンジンが停止しているときはコンプレッサーに内蔵されたモーターを使う「2Wayコンプレッサー」を採用、エアコン使用時の燃費を向上させている。

ハイブリッド化の欠点として、エスティマハイブリッドはバッテリーを三列目シート下部に設置するために、THS-Cを搭載しない通常のエスティマに比べ荷室が狭くなるほか三列目シートのシートアレンジが制限されている。エスティマハイブリッドのマイナーチェンジと同時に登場した、同じTHS-Cを搭載するアルファードハイブリッドではバッテリーの設置位置が前席下部に変更されこの点が改良されている(ただし、バッテリーが前席下部にあるため運転席、助手席と二列目シートのウォークスルーができなくなっている)。

3代目のフルモデルチェンジに伴い、2005年11月に初代エスティマハイブリッドは生産終了した。

通常のエスティマと同様に三角窓があり、センターメーターを採用している。

3代目(2006年-)[編集]

ファイル:Toyota Estima hybrid 01.jpg
2代目エスティマハイブリッド

2005年東京モーターショーにてコンセプトモデルが発表され、市販仕様はこのコンセプトモデルに準じたデザインで2006年1月16日より市販された。

先代のような販売店による区別(カローラ店ではエスティマ、トヨタ店ではエスティマ)がなくなり、車名が「エスティマ」に統一された。

エクステリアデザインは2代目の正常進化型だが、ヘッドランプは涙目風のデザインを採用し、より精悍な印象となった。また、三角窓を継続して採用したほか、全てのピラーをブラックアウトし、ルーフが浮いているようなイメージの「フローティングルーフ」となっている。また、2代目はウィンカーにサイドマーカーを採用していたが、3代目ではそれがなくなり、代わりにドアミラーウィンカーが標準装備となった。

インテリアデザインはセンターメーターこそ継承したものの、2代目とは打って変わって、直線基調で広がり感のあるデザインとなっている。

エンジンは新開発の2GR-FE型3500cc・V6DOHCの280psと国産ミニバン初の280ps達成だったが、同年12月21日に発表されたホンダ・エリシオン プレステージは同じ3500cc・V6ではあるが、300psを達成した。 また、2400cc・直4は従来と同じだが、170ps・22.5kgmとパワーアップした。

シートタイプはこれまで通り7人乗りと8人乗りが設定されるが、3列目シートは2代目のチップアップ式とは異なり、床下収納式となっている。また、7人乗りならスーパーリラックスモードが使える。それは3列目のシートを収納した状態で2列目のシートを最後尾までスライドさせれば、まるでリムジンのような広大なスペースが生まれるシートアレンジ。一方の8人乗りには2列目シートにチップアップ機能を備え、床下に収納できる3列目シートを活用して広大な積載スペースを確保することができる。

トランスミッションは3.5リッターV6車がシーケンシャルシフト機能付き6AT、2.4リッター直4車が7速シーケンシャルシフト機能付きSuper CVT-iが採用される。シフトレバーは1・2代目ではコラムシフトとなっていたが、3代目からはゲートタイプのインパネシフトとした。

設備ではG-BOOK ALPHA対応のHDDナビゲーション、インテリジェントパーキングアシスト、プリクラッシュセーフティシステム、スマートエントリー&スタートシステムなどの先進設備を充実させている。なお、クラウンでも採用されたスマートキー機能付き腕時計・キーインテグレーテッドウォッチがディーラーオプションで設定される。(MOPナビ480,000~660,000円)

なお、同年6月12日にハイブリッドモデルが追加設定された。エンジンとモーターの合計出力が190馬力となり、先代で不満だった動力性能を今回のモデルチェンジにより解消している。価格は363~441万円。

2007年4月25日独立行政法人「自動車事故対策機構」より2006年度の自動車アセスメントで自動車アセスメントグランプリを受賞した。

車名の由来[編集]

  • ESTIMA 英語で「尊敬すべき」というESTIMABLE(エスティマブル)より名づけた。
    なお、ESTIMAの名称は日本のみで使用され、海外ではプレビア(PREVIA、イギリス)、タラゴ(TARAGO、オーストラリア)の名称である。

CMなど[編集]

現行型と同クラスに位置する車種[編集]

取り扱い販売店[編集]

ちなみに初代は、親エスティマが両店で、ルシーダがカローラ店、エミーナがトヨタ店で販売されていた。2代目はTがトヨタ店、Lがカローラ店で販売されていた。3代目からは販売店による区分はなくなった。大阪地区では1997年4月より大阪トヨタから大阪トヨペットに販売が変更されたが、名称変更で2006年8月8日をもって大阪トヨタの販売になった。

脚注[編集]

  1. 後に日産シルフィのCMにも使用される。
  2. かつて三菱・トレディアのCMにも使用された事がある。


関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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